「LaMer」とは
愛媛大学で2つ目の共同利用・共同研究拠点として、「化学汚染・沿岸環境研究拠点(Leading Academia in Marine and Environment Pollution Research:通称 LaMer)」(平成28年度~33年度)が文部科学省より認定を受けました。
本拠点では、生物環境試料バンク(es-BANK)を共同利用・共同研究施設として機能化し、世界各所から収集した試料の有効利用を体系化するとともに、環境科学関連分野の一層の発展に寄与することを目的とします。さらに21 世紀COE プログラム(21COE)「沿岸環境科学研究拠点(平成14 年度~平成18 年度)」やグローバルCOE プログラム(GCOE)「化学物質の環境科学教育研究拠点(平成19 年度~平成23 年度)」および大型科学研究費(基盤研究(S)3件など)を通じて沿岸環境科学研究センター(CMES)が整備した先端的研究施設・設備・研究者ネットワーク資源を活用し、わが国における化学汚染研究や沿岸環境研究など環境科学分野の共同研究を推進・活性化することを目標としています。
これらの目的を達成するため、es-BANK に冷凍保存された試料の共同利用化をすすめ、国内外の研究グループとの国際共同研究を戦略的に推進します。併せて、CMES の特徴ある有害化学物質分析装置・毒性解析装置等を共同利用・共同研究機器として整備し、環境化学分野のみならず、他分野との学際的共同研究も遂行する予定です。皆様のご支援とご協力をお願い致します。
化学汚染・沿岸環境研究拠点
拠点長
沿岸環境科学研究センター 教授
農学部 教授(兼任)、大学院連合農学研究科 教授(兼任)
理学部 教授(兼任)、大学院理工学研究科 教授(兼任)
近年は特に、魚類・鳥類・哺乳類を対象として、核内受容体が介在するシトクロムP450シグナル
伝達系の種多様性や、環境汚染物質がこの系に与える影響について研究をおこなっている。
LaMerの目標と活動内容
拠点の目的
本拠点では、生物環境試料バンク(es-BANK)を共同利用・共同研究施設として機能化し、世界各所から収集した試料の有効利用を体系化するとともに、環境科学関連分野の一層の発展に寄与することを目的とします。さらに21世紀COEプログラム(21COE)「沿岸環境科学研究拠点(平成14年度~平成18年度)」やグローバルCOEプログラム(GCOE)「化学物質の環境科学教育研究拠点(平成19年度~平成23年度)」および大型科学研究費(基盤研究(S)3件など)を通じて沿岸環境科学研究センター(CMES)が整備した先端的研究施設・設備・研究者ネットワーク資源を活用し、わが国における化学汚染研究や沿岸環境研究など環境科学分野の共同研究を推進・活性化することを目標としています。
拠点の全体計画の概要
es-BANKに冷凍保存された試料の共同利用化をすすめ、国内外の研究グループとの国際共同研究を戦略的に推進しています。併せて、CMESの特徴ある有害化学物質分析装置・毒性解析装置等を共同利用・共同研究機器として整備し、環境化学分野のみならず、他分野との学際的共同研究を推進しています。また、調査実習船いさな等の共同利用を通じて、沿岸環境科学に関する研究を推進しています。さらに研究者派遣やアジア地域からの留学生の受け入れ等の交流を通じて、化学汚染や沿岸域の環境問題に取り組む国内外の研究者との連携を強化するとともに、「アジアの環境研究拠点」として既存の施設・設備の有効利用や技術交流を整備・促進しています。学際化・国際化・社会貢献等はCMESの基本理念であり、これらを堅持しつつ先導的で高度な共同利用・共同研究拠点として運営していきます。
拠点の目指す役割
わが国の化学汚染や沿岸環境を対象とした環境科学研究のレベルアップを図りながら、アジアでの研究を先導し、学術的・社会的貢献を果たす中核研究拠点が必要です。そのため、環境科学分野の恒常的・中核的研究拠点の形成、es-BANKの冷凍保存試料を戦略的に有効利用する施設の機能化、国際的な共同研究の推進、地域住民の環境意識の啓発や自治体研究機関との連携強化、環境科学分野の研究者を志す若手育成機関としての役割を充実させるよう務めています。
関連研究者
コミュニティへの寄与
CMESは平成14年度から附属施設としてes-BANKを維持・管理しています。es-BANKは、約50年間にわたって採取し冷凍保存してきた野生生物等の試料を今後採取される試料も含めて体系的に管理し、学内外の研究に提供する目的で設立されました。es-BANKには現在では北極圏から南極圏に至る世界各地から収集した約12万点の試料が冷凍保存されています。CMESの共同利用・共同研究拠点化と維持・管理の高度化を推進することにより、es-BANKの冷凍保存試料をより広範な関連研究者に提供し、また市民や学生の環境教育も充実します。CMESの調査船の可動範囲は瀬戸内海に限られますが、瀬戸内海は我が国の代表的な閉鎖性海域であるばかりでなく、その複雑な地形により極めて多様な環境と生態系を有し、沿岸海洋研究課題の「宝庫」でもあります。また、小型の同調査船は、高い機動性や沖合から沿岸の極浅海域にわたる広範囲での可動性を備える一方で、いくつかの高度な観測機器も装備しており、中・大型の観測船では不得意な観測も可能です。このため、同調査船はこれまで、海外も含む瀬戸内海沿岸以外の多数の研究機関に利用されてきました。CMESの拠点化は同調査船および観測機器の有効利用を拡大し、当該分野の研究の発展に大きく貢献します。
関連研究分野の発展や
新規研究分野の創出への寄与
CMESの特徴ある有害化学物質分析装置・毒性解析装置等を共同利用機器として整備し、環境化学分野のみならず、海洋科学・生物学・生態学・微生物学・医学・薬学・獣医学・農学など、持続的・継続的な発展が期待される分野との学際的共同研究を推進しています。とくにes-BANKに冷凍保存された試料の共同利用化をすすめ、国内外の研究グループとの国際共同研究を戦略的に推進しています。また、国内外に散在する試料の受け入れ体制を充実し、es-BANKの国際的試料保管施設としての機能を強化しています。このような計画は学問の深化・多様化に寄与するなど、斯界に及ぼす波及効果は大きいと考えられています。
若手研究者育成への寄与
CMESは環境科学分野の研究者を志す若手研究者の登竜門として大きく貢献してきました。これまでCMES教員が蓄積してきた若手研究者育成のための実績や経験およびノウハウは、拠点化の人材育成基盤として有効に活用し、若手の育成機関としても本拠点が機能し発展するように努力したいと考えています。一方、途上国では高度な環境教育を習得した人材が乏しいため、先進国の教育研究機関は、途上国の科学者に教育の機会を提供すること、そして環境問題解決のための人材ネットワークを構築することが重要であると考えます。アジア地域からの留学生の受け入れや若手研究者派遣等の交流を通じて、化学汚染や沿岸域の環境問題に取り組む国内外の若手研究者との連携を強化するとともに、「アジアの環境研究拠点」として既存の施設・設備の有効利用や技術交流を整備・促進しています。こうした人材育成のプログラムは、当該分野の専門家のみならず途上国研究者の期待にも十分応えられると確信しています。